ゲームデザインの観点で見る音楽ゲーム【KawazAdventCalendar12/11】

Kawaz Advent Calendar

昨日のKawazAdventCalendarは@Toshさんでした!

MATLABを使って位相変調で音を作ったお話

初めに

KawazでDTMをしたり、ゲームデザインについて考えたりしているRIRAと申します。

今回のKawaz Advent Calendarでは、ゲームデザイン的な観点で見る音楽ゲームについて自分なりに考えてみたいと思います。

音楽ゲームって何?

この記事を見ている皆さんご存じだとは思いますが念のため、音ゲーとは何かを説明しているページを参照しておきます。

ニコニコ大百科

「音楽ゲーム」の略称。音楽の演奏をするゲームの総称である。 主に音楽に合わせてボタンなどを入力することでスコアを競うものが多い。また専用のデバイスや実際に演奏できる専用の楽器を使用するものも多く、そういった理由からアーケードタイトルが活発なゲームの一つである。ゲームのルールの多くはタイミングをあわせる「リズムアクションゲーム」「リズムゲーム」と呼ばれるものであるが、パズルやシューティング、演奏ツールとしてデザインされているゲームも数多く存在する。

大体この説明の通りなのではと思います。強いて言うのであれば、最近ではスマホでも音楽ゲームが普及してきているかなという印象があります。では次に音楽ゲームの基本的なゲームデザインの仕方についての説明をしたいと思います。

音楽ゲームの基本的なゲームデザインの仕方

突然ですが皆さん、音楽ゲームをプレイする際どのようにして音楽ゲームを楽しんでいるでしょうか?僕が思う音楽ゲームをプレイするほとんどのプレイヤーの楽しみ方は、次の様な楽しみ方になると思います。

  • 様々な楽曲の中から、今一番プレイしたい楽曲をチョイス。そのチョイスした楽曲で、リズムにノリながらボタンを入力し、なるべく高いスコアを目指す。

「音楽ゲームって何?」で参照したニコニコ大百科の説明でも似たような説明が書かれています。おそらくほとんどの方々が音楽ゲームをこのように楽しんでいると思います。そして音楽ゲームを製作している側もこのような基本を基にゲームをデザインしていると思います。


次に、この様に音楽ゲームをプレイする事によって生まれる、次に同じ音楽ゲームをプレイする際の動機を考えてみたいと思います。その、動機については次の様な動機が考えられると思います。

  • 今プレイした楽曲で失敗したところがあったから、それを修正してもっとスコアを上げたい!
  • 今プレイした楽曲以外の楽曲も楽しんでみたい!

大きく分けると、この2つに分けられると思います。

そしてほとんど全ての音楽ゲームで、この2つの動機を助長する様な形のゲームデザインがなされています。その様なゲームデザインがされている音楽ゲームの例を2つ挙げてみます。

jubeat Qubell

pkg.jpg

jubeat Qubell ※画像引用元

このゲームではdig point、KEY QUBEというシステムがあり、それらが2つの動機を助長させる役割を担っています。ではDig Point、KEYQUBEとは一体どんなシステムなのでしょうか?

dig point、KEY QUBEとは

jubeat@Wiki

Qubellの楽曲解禁システム。 曲をプレーする毎に貯まる「dig point」や条件クリアで貰える「KEY QUBE」でQUBEを掘り進んで楽曲を解禁する。

dig pointでは、例えばスコアのランクがS以上であれば、dig pointが加算されるという様なシステムもあります。スコアが高ければ高いほど、dig pointが貯まるようなシステムになっています。これは上記に挙げた2つの動機の内、1つ目の動機を助長するシステムだと言う事が出来ると思います。

KEY QUBEでは例えば、ある特定の楽曲をクリアするとKEY QUBEを獲得する事が出来るという様なシステムがあります。これは上記に挙げた2つの動機の内、2つ目の動機を助長するシステムだと言う事が出来ると思います。


REFLEC BEAT colette

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REFLEC BEAT colette ※画像引用元

このゲームでは、PASTEL ADVENTURE (@Wiki)というシステムがあります。このシステムも詳しく説明したい所なのですが、例ばかり詳しく説明してもアレなので、このゲームのシステムについては、このようなシステムもあるよ!という参考程度に提示しておくに留めておきます。このゲームのシステムも、上記に挙げた二つの条件を満たすようなシステムが盛り込まれているので、詳しい例1つだけでは説得力がない!と思う人は、上記のPASTEL ADVENTURE (@Wiki)を見てみてください。

音楽ゲームがもう一歩先へ進むためには?

さて、ここまで音楽ゲームの基本的な楽しみ方、またその楽しみを助長するゲームデザインなど音楽ゲームの基本的なゲームデザインを基にした説明をしました。僕は、この基本的なゲームデザインを基にした、ゲームデザインを用いたゲームをプレイしても十分楽しめる設計にはなっていると思いますし、この様なゲームデザインを用いたゲームで満足しているプレイヤーも多いと思います。しかし僕はこう思ってしまったのです。

「いや、音楽ゲームってもっと面白くなるでしょ?」

では何故僕がそのように思うのか?それは音楽ゲームはこのゲームを最後まで楽しみたい!という動機が欠陥していると思うからです。ではなぜこの動機が欠陥していると僕は思っているのでしょうか?それは上述した

  • 今プレイした楽曲で失敗したところがあったから、それを修正してもっとスコアを上げたい!
  • 今プレイした楽曲以外の楽曲も楽しんでみたい!

という動機だけでは、自分が好きな曲を全てやり終えたプレイヤーや、自分の好きな曲で出したスコアに満足したプレイヤーはゲームを離れていってしまう可能性が高いからです。大体好きな楽曲を全てをある一定のスコアまで出したら、もうやる事もないですからね。自然と離れていく事も当然と言えると思います。なのでそのようにしてゲームを離れていってしまうプレイヤーを離れさせないためのこのゲームを最後まで遊びたい!という動機が欠陥していると言う事が出来ると思います。

ちなみになんですけど、このゲームを最後まで遊びたい!という動機無くしてゲームを続けるプレイヤーも一定数いると思いますので、そのようなプレイヤーの動機についても一応考えてみます。そのようなプレイヤーはどんなプレイヤーかと言うと、今プレイした楽曲で失敗したところがあったから、それを修正してもっとスコアを上げたい!という動機を基に全ての曲において究極的それを極めようとしてゲームをプレイしているプレイヤーか、自分自身でゲームをプレイするための動機を作り出し、ゲームをプレイするプレイヤーこの2つのうちどちらか、または双方をやろうとしているプレイヤーになると思います。

そして現在の既存の音楽ゲームの基本的なゲームデザインだと、それら2つを楽しむプレイヤーにしかウマみがないゲームのデザインになってしまっています。それでは、当然面白いゲームとは言えませんよね。それよりはむしろスポーツと言えそうです。

では音楽ゲームをもっと面白くするために、ゲームを最後まで遊びたい!と多くの人に思わせられるようなゲームデザインにするためにはどうすれば良いのでしょうか?まずはその前段階として、自分が今一番面白いと思っている音楽ゲームを紹介したいと思います。

今一番面白いと思っている音楽ゲーム

まず、現時点で僕が最も面白いと思っている音楽ゲームがあります。そちらの音楽ゲームの例を基にもっと面白くなるゲームデザインの説明していきたいと思います。そのゲームがこちら。

index_pic.png

DEEMO ※画像参照元

この画像でお分かりになった人も多いと思います。そう。DEEMOですね。

では何故僕がこのゲームをの現時点で最も面白いゲームと思っているのか。それはゲームにおけるナラティブ性が非常に高いと思っているためです。

「え?ゲームにおけるナラティブ性って何?」

こう思われた人は多いのではないでしょうか?実はこの文中にあるナラティブという言葉、非常にふわふわした言葉で、なかなか説明する事が難しい言葉です。さらにそのナラティブを、ゲームとセットで考えなくてはいけないので、もっと説明がややこしくなっています。よって厳密に、この言葉はこういう意味だ!と言う事は難しいです。なので、「ゲームにおけるナラティブ」の説明として、自分が一番納得した説明を一例として挙げてみたいと思います。

twitter:@fumito_ueda(上田文人)

欧米で話題のナラティブとは"テーマ"や"シナリオ"を如何にゲームのデザイン、メカニクス、テクノロジーに落とし込むか、本来混ざり難いはずの両者を、如何に攪拌し、物語性の含有量を上げるかかなと思います。

ICOやワンダと巨象などのゲームデザインを担当されていらっしゃった上田文人さんのツイートの説明を参照させて頂きました。

かいつまんで言うと、ゲームのデザインに如何にして物語性を多く混ぜていくかという事ですね。個人的には、物語性を多く入れるのではなく、落とし込むと表現している所がポイントかなと思います。物語性とゲームのデザインを出来るだけ一体化させていく、というようなイメージでしょうか。


さて、ゲームにおけるナラティブ性がある程度は理解できたと思います。(できていない人は...ごめんなさい。ググってください。)では先ほど例に挙げたDEEMOは、何故ゲームにおけるナラティブ性が高いと思えるのでしょうか?その理由を2つ挙げてみたいと思います。

その1 重厚な世界観

ゲームにおけるナラティブ性が高いと思う1つ目の理由として、他の音楽ゲームには無い重厚な世界観を演出しているという理由があります。その重厚な世界観を裏付けるストーリー設定がありますので、そちらを引用してみます。

Deemo Wiki*

とある城の中で孤独な日々を過ごす神秘的なキャラクター、Deemo。 ある日-自分が誰なのか分からず、どこから来たのかも覚えていない-そんな少女が空から落ちてくる。 少女を空の上の世界に帰そうとするDeemoは、ピアノの音色を聴くたびに成長する木を見つけるが… 孤独な城の中では感じ得なかった、人の感情、そして少女のぬくもりに触れたとき、Deemoはどうなるのか。 失っていた記憶を取り戻した時、少女はその真実を受けとめられるのだろうか…… 「ーーーーさよならも言わずに、消えてしまわないで。」

一瞬でストーリーを把握でき、尚且つストーリーをこの先進めていくと一体どんな展開が待っているんだろう...とプレイヤーを期待させる事が出来るストーリーと言えると思います。なので重厚な世界観を演出している、という事が出来ると思います。この他にも重厚な世界観を演出している要素として、BGM、プレイ楽曲などの雰囲気の統一、プレイヤーに想像の余地を与えるようなグラフィックでの演出などもあります。ゲームにおけるナラティブ性において、世界観の演出がどれだけ重要かについては説明する必要は無いと思います。

その2 ゲームプレイと物語間のインタラクティブ性

ゲームにおけるナラティブ性が高いと思う2つ目の理由として、ゲームプレイと物語間のインタラクティブ性がきちんとデザインされているという理由があります。これはどういう事でしょうか?その1で引用したストーリーも交えながら説明したいと思います。

早速引用します。

少女を空の上の世界に帰そうとするDeemoは、ピアノの音色を聴くたびに成長する木を見つける

このようなストーリーがありますね。もし、プレイヤーのゲームプレイに依らず、勝手にゲーム内のキャラクターがピアノの音色を木に聴かせているという物語だけであるならば、プレイヤーはゲームを面白くプレイする事は出来ません。しかし、もしプレイヤーとキャラクターが一体となって音楽を奏で合い、ピアノの音色を木に聴かせるという物語であった場合はどうでしょうか?プレイヤーはゲームと物語の中に没入している感じがして、面白いと感じると思いませんか?また木が実際に成長したときの達成感も物語だけが独立している場合とは比較にならない程の達成感があると思います。

つまり何が言いたいかというと、DEEMOはプレイヤーがゲームをプレイしながら、物語にもプレイヤー自身がきちんと入りこむことができ、さらにプレイヤーにフィードバックがきちんと与えられるというデザインになっているという事です。(インタラクティブ性がある、とも言えますね。)具体的なDEEMOのデザインで言うと

ゲーム中に提示されている楽曲を2回クリアすると、物語が進み、さらに木が成長していく

というゲームのデザインの事です。このデザインはゲームにおけるナラティブ性が高い、という事が出来ると思います。

もっと面白い音楽ゲームとは?

さて、以上の説明を踏まえて、もっと面白い音楽ゲームを作るためにはどうすれば良いか?をもう一度考えてみましょう。それは

  • 今プレイした楽曲で失敗したところがあったから、それを修正してもっとスコアを上げたい!
  • 今プレイした楽曲以外の楽曲も楽しんでみたい!

これらの、次に同じ音楽ゲームをプレイする際の動機の他に

  • このゲームを最後まで楽しみたい!

という動機をプレイヤーに作ってあげる事です。そのための方法として

音楽ゲームにおけるナラティブ性をもっと高めていく

この方法をきちんと用いて音楽ゲームを作る事です。既存の音楽ゲームにナラティブ性が無いと言っている訳ではありません。既存の音楽ゲームであってもストーリーが盛り込まれていたり、このゲームを最後まで遊びたいと思うようなゲームのデザインがされている事があります。しかし、そのナラティブ性が既存の音楽ゲームは低いのです。このナラティブ性をこれから先の音楽ゲームでどの程度高めていく事が出来るのかという所が、これから先の音楽ゲームが面白くなっていくのか、面白くなっていかないのかの分かれ目になると個人的には思っています。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました!何か分からない点や、質問がある方はコメント欄にお願いします。感想も頂けると嬉しいです。明日は@miiojpさんです!

1 kosian (@kita_kosian)

保育園でやるカスタネットの演奏会を思い出すと、ただ音楽のリズムに乗ってるだけでも楽しかったんだなぁ、とふと思い出しました。

基本的にはどの音楽ゲームもそこの感情からはじまってると考えると、凄く難易度の調整はたいへんなんだなぁと今更。ゲーム作ってないので小並な事しか思いつきませんでしたが結局そこのバランスを取るのがゲームデザインなんだなと改めて思いました。

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