イマドキなADV・ビジュアルノベルの動的演出一例【KawazAdventCalendar 12/7】

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えー、本来は12月7日分の記事を担当する予定でしたつなくっくです。これを書いているのは12月9日。

こんな時に限って風邪を引いてしまいました!
結局投稿日が伸びてしまって大変申し訳ないorz

さて。私つなくっくは、Kawazで主にアドベンチャーゲームをひいこら言いながら作っているのですが、アドベンチャーゲームには大切な柱が二つあると思っています。

一つは「ゲーム体験」。ゲームシステムという名前がふさわしいかもしれませんが、「そのゲームをやることでプレイヤーがどんな体験をすることができ、どんな感情にさせられるか」というものです。

アドベンチャーゲームのシステムについてはこの記事に濃くしかも詳しく載っています。

イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(前編) - 4Gamer.net
http://www.4gamer.net/games/074/G007427/20131108107/

……おっと、いきなり脱線してしまいました。
さて、これから紹介するもう一つの柱が今回の本題。

それは「演出」です。

シナリオも、グラフィックも、音楽も、すべてこの「ゲーム体験」と「演出」を構成する原子のようなものだと考えています。

ノベルゲーの演出というと、

  • 背景や場面を切り替えるときに、暗転でフェードイン&アウトしたり、スライドしながら切り替わったりする
  • 登場人物が大笑いしたり驚いたりした時に画面を揺らす
  • クリア前とクリア後でタイトル画面の背景画像を変える

...etc

などなど、ノベルゲームをプレイされたことのある方なら想像していただけるかなと思います。

もちろんこれらも大切な演出技法なのですが、最近、商業や同人ノベルゲームでは「動的な演出」が注目されてきています。

「それってなんぞ?」なんて言われると言葉ではちと言い表しづらいのですが、この記事ではそんな「ノベルゲームの動的演出」を紹介したいと思います。

立ち絵をプログラム側で移動させる

18禁ADV「あやめの町とお姫様」の、体験版の一コマです(公式から無料配布されている体験版。動画はえっちくないです)

「あのね……あたしね……」というセリフとともに、
ヒロインのあやめちゃんの立ち絵が左右に動いたのがわかるでしょうか?

おそらくあやめちゃんがもじもじしているようすを演出したものかと思われますが、このように立ち絵をそのままプログラム側で動かすことで、ただの表情・ポーズ切り替えにはないような感情を出し、かつ切り替える表情を削減しています。

背景とその差分を用意し、それらを交互に表示する

TYPE-MOONのビジュアルノベル『魔法使いの夜』に使われている一幕です。

森や猫の絵がチラチラと交互に移り変わっているのがわかるでしょうか。

ただの背景でもこのように絵と差分を交互に見せることで、画面上を寂しく見せない、それでいて絵本の世界のような暖かさを表現できています。

背景を大きめに作成し、ゆっくりスクロールしながら表示する

これがもっとも真似するのに手っ取り早いかと思います。

動画では家の外観→内観の背景が順番に表示されていますが、上から下へぐぐぐっと移動しながら表示されていますね。

これはこのようなムービーを後ろで再生しているのではなく、大きめの背景画像をズームアップして動かしているのです(たぶん)。

「魔法使いの夜」CGモードにある、階段の絵です。

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絵のアスペクト比がゲームのウィンドウサイズと合っておらず、しかし動画よりも引いた視点で書かれています。

必ずしもゲームのウィンドウサイズピッタリでなく、わざとウィンドウサイズから外して背景を作成してそれを動かすことによって、ただはめ込むだけでは表現できないリッチさを出しています。

背景をカットインのように部分的に配置し、次々と繰り出して、移動しているような演出をする

同じく『魔法使いの夜』にて、主人公が電話をとりに屋敷内を移動するシーン。

14秒の辺りから、ゲームのウィンドウサイズの一部のみに描かれた背景が次々と変わっていっています。

カットインのように背景を使うことで、よりテンポのある演出をしています。

背景を複数用意し、交互もしくは同時に動かす

これまでの応用編というか、組み合わせたものがこんなケースです。

電動伝奇堂の同人ビジュアルノベル『キョンシー×タオシー』ではこのような絵の見せ方をしています。

一つの画面内に背景のカットインを複数同時に表示し、さらに速度差をつけて動かすことで、画面をよりリッチにすることができています。

画面効果を連続的に使う

  • 背景を縦に動かす→動かした後でぼかしを入れる
  • 一枚絵を動かしながら表示する
  • 画面を揺らしながら剣戟のエフェクトを入れる

といったように、背景を動かしつつ画面を揺らしたり、効果音と同時に襲いかかる敵の一枚絵を出すなど、一つ一つは静止画であるにもかかわらず、襲い来る敵の恐怖感を演出しています。

視差効果を使う

先ほども出した、『キョンシー×タオシー』を今度は最初から2秒までの間に着目してみてください(短い!)

奥に配置した男性キャラの画像と、手前左側からせり出してくる人影(すぐに男性の顔に隠れてしまいますが)。この二つの移動している速度をよく見比べてみてください。

奥の男性キャラの画像のほうが遅く、手前の人影のほうが早く右へ右へと移動していませんか?

同時に、かつ同方向に動かすものそれぞれの速度を、奥は遅く、手前を早く動かすことで立体感を出しています。

「視差効果」と言って、すでにWebデザイナーは積極的に取り入れている効果です。iOS7の壁紙にも、この「視差効果」が使われています。

Webデザインの分野で取り入れられつつある、こうした効果をビジュアルノベルに応用している例だと思います。

おわりに

「今回紹介したことをそのままアナタの作品に使えばたちまち神ノベルに!」なんてことが言えればいいんですが、現実はそう甘くはありません(爆

本文の表示形式(ビジュアルノベル形式orサウンドノベル形式)によっても有効かそうでないかは違ってきますし、もちろん作品の方向性によっても違ってきます。

特に本文表示形式の違いは大きく、ビジュアルノベル形式の作品で「魔法使いの夜」のような背景の使い方をそのまま転用するのは難しいと思われます。
立ち絵とマッチしないですし、文章がないとスカスカに見えてしまうでしょう。

ただ、都度メッセージウィンドウを消すなど、工夫次第でうまく取り入れることも充分に可能です。

ノベルゲーやビジュアルノベルは、シューティングやアクションなどに比べてどうしても絵面に動きが少ないため地味になりがちです。

こうした「動的な演出」技法を取り入れることによって、プレイヤーにより物語やゲーム体験への没入感を高めてもらえる一助にできるのではないかなと思います。

あとはキミの目で確かめよう!

電動伝奇堂の同人ビジュアルノベル『キョンシー×タオシー』ですが、現在体験版を配布されていて、こちらの体験版をプレイするだけでもかなり「動的な演出」に凝っているのがわかります。

同人でもここまで凝っているのはなかなかないと思われるので、ぜひプレイしてみると演出の参考にできるところが見つかるかもしれません。
キョンシー×タオシー http://den2do.com/trial.html

1 べる (@bell)

キョンタオ、サイトも見てきたけど動的演出に対する挑戦意欲の塊だ。素晴らしい。まほよの絵本演出は1カット2枚交互かなと見せかけて3枚使ってるねこれ。拘っているよね。しかし素材量白目剥くレベルのまほよのグラの負担ってどんなもんだったんだろうね。記事おつかれ!

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